ボディファーム:人体の腐敗を研究する施設とは?
- 2024.04.25
- 世界の施設
ボディファームとは何か?
ボディファームとは、人間や動物の遺体の腐敗をさまざまな環境で研究するための施設です。
最初の施設は、1981年にテネシー州ノックスビルにあるテネシー大学で、人類学者ウィリアム・M・バスによって考案され設立されました。ボディファームでの研究結果は、法人類学などの分野で関心が高く、刑事捜査や法医学の分野で活用されています。遺体を風雨にさらされる屋外に置くことで、研究者は自然環境における腐敗過程を研究することができます。
ボディファームは主にアメリカにあり、アメリカ以外だとオーストラリア、カナダの2ヶ国に存在します。
アメリカ合衆国のボディファーム
アメリカには8つのボディファームがあり、すべて大学に設立されています。
- テネシー州立大学
- ウェスタン・カロライナ大学
- テキサス州立大学
- サム・ヒューストン州立大学
- サザン・イリノイ大学
- コロラド・メサ大学
- サウス・フロリダ大学
- ジョージ・メイソン大学
温暖な気候のテネシー州や寒冷な気候のイリノイ州など、さまざまな気候の場所に設立されています。ボディファームの設立には多くの目的が存在しますが、その主な目的は、人体に起こる腐敗課程を研究することです。野外腐敗実験が終わった後に、遺体の骨は綺麗に洗浄され、研究用に公開されている骨格標本コレクションに加わります。
世界で初めて設立されたテネシー州立大学のボディファーム
テネシー州立大学に設置されているボディファーム、人類学研究施設は、テネシー州ノックスビルのダウンタウンから数キロ離れた場所にあります。この施設は、法人類学者ウィリアム・M・バス博士が1981年に遺体の腐敗を研究するための施設として開設しました。
バス博士は1971年に同大学の人類学部長に就任し、テネシー州公式の法人類学者として、腐敗した人骨が関係する事件で、警察より頻繁に捜査の協力要請を受けていました。腐敗を専門的に研究する施設がなかったため、バス博士は1981年に同学部初のボディファームを開設しました。
テネシー州立大学のボディファームは広大な雑木林の敷地で、金網で囲まれています。何体もの遺体が施設内のさまざまな場所に置かれ、腐敗するまで放置されます。さまざまな条件下での腐敗を解明するため、遺体は車のトランクの中や、水中の中など、さまざまな環境下に設置されます。
毎年100体以上の遺体がこのボディファームに提供されます。生前に事前登録する人もいれば、遺族や監察医から寄贈される場合もあります。最も有名な遺体の提供者は、アメリカの人類学者のグローバー・クランツで、現在、実験を終えたクランツの骨格標本はスミソニアン博物館に展示されています。
テネシー大学の遺体安置所は、警察官の犯罪現場での技術訓練にも使用されています。
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